ChatGPT・生成AIと子どもの学習 — 何歳から、どう使う?
なぜこの話題が気になるのか
「上の小学生の子が、もうChatGPTを使い始めているんです。6歳の下の子も『何それ、私もやりたい』って言っていて。学校でも生成AI導入の話が出てきていて、何歳から、どこまで、どう使わせたらいいのか、判断がつかなくて」── 2024〜2026年にかけて、ご家庭から急増している相談です。論点も多岐にわたります。
- そもそも何歳から使っていいの? 各社の規約はどうなっている?
- 「ChatGPTで宿題」って、悪いことなの? 全面禁止? それとも使い方次第?
- 幻覚(うそをつく)って聞くけど、子どもにはどう説明すればいい?
- AIに頼ると思考力が育たない、って本当?
- AIネイティブ世代として、これから何ができるようになっておくべき?
- 親自身もAIに詳しくないのに、どうやって子どもに教えればいい?
結論から言うと、「禁止」も「全肯定」も、研究や公的ガイドラインの整理として正確ではありません。OECD・UNESCO・文部科学省のいずれも、年齢別の段階的な導入を提案しており、共通して強調されているのは「親や教員が一緒に」「批判的に読み解く力」の二点です。本記事では、各社の年齢制限・公的ガイドライン・年齢別の現実的な関わり方を、研究の言葉で整理していきます。
まず、生成AIとは何かを短く
ChatGPT・Claude・Gemini といったサービスは、大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)を使った「文章生成AI」です。インターネット上の膨大なテキストを学習し、ユーザーの問いかけに対して「次にどんな言葉が続くと自然か」を確率的に予測して、文章を組み立てて返してきます。
主要なサービスを、ごく簡単に整理しておきます。
ChatGPT(OpenAI)
もっとも有名
2022年末に公開され、生成AIブームの火付け役。無料版でも一定の機能が使える。利用規約は13歳以上(13〜17歳は保護者同意)。Custom GPT、画像生成(DALL·E)、音声会話、検索など機能拡張も豊富。
Claude(Anthropic)
対話と長文に強い
本サイトの執筆補助でも活用している、長文の理解・要約・対話に強い系統。利用規約は18歳以上を基本(地域により異なる)。安全性と対話の自然さに重点を置いた設計が特徴。
Gemini(Google)
Google サービス連携
Google アカウントと連携し、検索・Gmail・ドキュメントなどと組み合わせやすい。地域・サービスにより 13歳以上 / 18歳以上と条件が分かれる。学校で配布される Chromebook と相性がよい。
無料版でも基本的な対話はできますが、有料版(月20ドル前後)では、より高性能なモデル・画像生成・音声機能・大量利用などが使えるようになります。家庭で「子どもと一緒に試してみる」程度であれば、無料版で十分な範囲から始められます。
各社の年齢制限と利用規約
ご家庭で「使わせる・使わせない」を判断する前に、まず各社の利用規約上の年齢制限を確認しておきます(2026年5月時点)。
- ChatGPT(OpenAI):13歳以上で利用可能。13〜17歳は保護者または法定代理人の同意が必要。13歳未満の利用は規約上認められていない。
- Gemini(Google):Google アカウントで利用するサービスは、原則 13歳以上(国により異なる)。学校が配布する Google Workspace for Education のアカウントでは、追加の年齢設定が学校側にある場合がある。
- Claude(Anthropic):消費者向けサービスは原則 18歳以上(地域により異なる)。
- Microsoft Copilot:個人向けは13歳以上、家族設定や学校アカウントでの管理機能がある。
つまり、未就学児(6歳)が一人でアカウントを作って使うことは、いずれのサービスでも規約上認められていません。ご家庭で6歳のお子さんに触らせる場合は、保護者のアカウントで、保護者が一緒に使う ── これが、規約上の前提です。
これは「禁止しているからダメ」ということではなく、各社が「判断力が十分に育っていない年齢の子に、生成AIの幻覚・不適切コンテンツ・依存リスクをそのまま晒すのは責任が持てない」と判断している、ということを意味します。家庭で使うときも、同じ判断軸を引き継ぐのが自然です。
公的ガイドラインは何を言っているのか
所見1:OECD「Digital Education Outlook 2023」── AIを「教えるパートナー」と位置づける
教育分野におけるデジタル技術の活用について、加盟国の政策動向と研究エビデンスを統合した、OECD Publishing の報告書
は、生成AIを含むデジタル技術を、「教員を置き換えるもの」ではなく「教員を支援するパートナー」として位置づけることを提案しています。報告書が強調するのは、
- AIは個別最適化(adaptive learning)に寄与する可能性があるが、導入には教員研修・カリキュラム再設計・倫理ガイドラインの整備が前提になる
- 生徒のAIリテラシー(AIの仕組み・限界・倫理を理解する力)を学校教育に組み込む必要がある
- データプライバシー・公平性・透明性の確保が、技術導入と同時に進められる必要がある
OECD の整理は、「禁止か全面導入か」の二択ではなく、「教える側の準備が整った範囲で、段階的に」という慎重なものです。
所見2:UNESCO「Guidance for Generative AI in Education and Research」(2023)
生成AIの教育・研究分野での利用について、世界各国の政策担当者・教育者向けに発行された国際的なガイダンス文書
は、より踏み込んだ提案をしています。主な指針は、
- 生成AIサービスの利用は、13歳以上を基本とすることを推奨(各国・各サービスの規約とも整合)
- 学校での導入には、「人間の主体性(human agency)を中心に置く」原則を保つ
- 生徒のクリティカルシンキング(批判的思考)・ファクトチェック能力・倫理的判断力を育てる教育を、AI導入と並行して行う
- 教員のAIリテラシー研修を、生徒への導入より先に進める
UNESCO が一貫して強調しているのは、「AIに使われる側」ではなく「AIを使う側」として子どもを育てるという姿勢です。技術導入そのものより、教育の目的・人間の主体性を優先する立場が読み取れます。
所見3:Kasneci ら(2023)── 教育におけるLLMの機会と課題
ChatGPT を含む大規模言語モデルの教育利用について、機会(opportunities)と課題(challenges)を学際的に整理した、Learning and Individual Differences 誌のレビュー論文
は、研究知見を次のように整理しています。
機会の側として、
- 個別の質問に対する即時応答(「24時間いつでも答えてくれるチューター」的な役割)
- 学習者のレベルに合わせた説明の言い換え(難しい概念を平易な言葉に)
- 言語学習における会話練習相手
- 教員の教材作成・添削補助
課題の側として、
- 幻覚(hallucination):事実と異なる情報を、自信を持って返してくる
- 批判的思考の弱体化リスク:AIの回答を鵜呑みにすることで、自分で考える機会が減る
- 著作権・剽窃の問題
- 学習データに含まれるバイアスの再生産
- データプライバシーの懸念
論文の含意は、「LLMは教育に大きな可能性をもたらすが、教員・保護者の関与と、生徒のAIリテラシー教育がセットでなければ、リスクが利益を上回りうる」というバランスのとれたものです。
所見4:文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」(2023)
2023年7月に公表された、小学校・中学校・高等学校における生成AI利用についての日本の暫定ガイドライン
は、次のように整理されています。
- 生成AIの利用は「限定的な利用から始める」段階的な導入を基本とする
- 各社の利用規約(13歳以上等)を遵守する。小学生の利用は、学校・家庭ともに保護者・教員の管理下で
- 適切な利用例(対話の壁打ち、英会話練習、教員の校務支援等)と、不適切な利用例(感想文・読書感想文をそのまま提出、定期試験での使用等)を例示
- 「AIに任せて思考停止する」のではなく、AIの回答を批判的に検討し、自分の言葉で再構成する力を育てることを目的とする
- 個人情報・著作権・プライバシーへの配慮を徹底する
国内の公的整理も、OECD・UNESCO とほぼ同じ方向 ── 禁止でも全面導入でもなく、年齢と判断力に応じた段階的な利用、批判的思考の育成 ── を示しています。
4つの所見をどう読むか
整理すると、国際・国内の公的整理は次のような共通点を持っています。
- 13歳未満の単独利用は、各社規約・各ガイドラインともに想定外
- 12歳以下では保護者・教員の関与が前提
- どの年齢でも、批判的思考・ファクトチェック・自分の言葉で言い換える力を並行して育てる
- AIは教員・親・対話の代わりではなく、補助・拡張の道具
「子どもにAIを触らせるかどうか」より、「どんな関わり方で、どんな力を育てたいか」が、現時点での公的な共通理解です。
年齢別の現実的な関わり方
公的ガイドラインの整理を踏まえて、ご家庭で「いつ・どう」関わるかを、年齢別に整理します。
- 0〜3歳
生成AIは不要
言葉・概念・身体感覚を、直接体験から獲得していく最重要の時期。生成AIに触れさせる必要はなく、絵本・玩具・親との対話・外遊びが優先順位の高い活動。「赤ちゃん向けAI教材」のような商品もあるが、現時点で発達上のメリットを示すエビデンスは乏しい。
- 4〜5歳
親が代理操作で「見せる」段階
お子さんが「画面の中のお話する人」に興味を示し始めることがある。この段階では、お子さんが自分で操作するのではなく、親が代理でAIに話しかけ、回答を一緒に読む(または親が読み聞かせる)スタイル。「絵を描いてもらおうか?」など、創造的な使い方の「見学」程度がちょうどよい時期。
- 6〜9歳
親同席で、短時間の体験
小学校低学年。学校で生成AIが話題になり始める時期。親のアカウントで、親が隣にいる状態で、1回10〜15分程度の短い体験から。「ペンギンってどこに住んでるの?」など、お子さんの素朴な疑問を一緒にAIに聞いて、答えを「本当かな?」と図鑑で確認するワークがおすすめ。
- 10〜12歳
基本ルール下で、徐々に自立
小学校中〜高学年。各社規約上はまだ「保護者同席」の年齢だが、自分でAIと対話する場面が増えてくる。家庭で「使っていい場面」「ダメな場面」「困ったら相談する」のルールを共有。幻覚・著作権・個人情報の話を、お子さんの理解できる言葉で説明する時期。
- 13歳〜
規約上「自分で」使える年齢に
ChatGPT 等の規約上の利用可能年齢。それでも保護者の関与は引き続き重要。「使うこと」より「使った内容を家族で話す」習慣が、AIリテラシーを育てる軸になる。学校での課題提出・試験での扱いは、学校のルールに従う。
この区分は、各社規約・UNESCO 推奨・文科省ガイドラインを総合した目安です。お子さんの興味や、ご家庭の方針によって、もちろん前後します。重要なのは、年齢ではなく「親が一緒に、批判的に使う」という姿勢を、どの年齢でも保つことです。
学習で「使えるシーン」と「使うべきでないシーン」
ご家庭で具体的にどう使うか ── 6〜9歳を中心に、研究と公的ガイドラインから整理します。
使えるシーン
Likely beneficial
(1)疑問に答える「壁打ち相手」(『ペンギンはなぜ南極にいるの?』を親と一緒にAIに聞いて、図鑑でも確認)、(2)図鑑代わりに動物・植物の説明を平易な言葉で、(3)『りんごの絵を一緒に描こう』など創作の壁打ち、(4)英会話の練習相手(『Hello, how are you?』から)、(5)親が宿題サポートのヒントをもらう(教え方の言い換えを親が学ぶ)。共通点は『AIの答えを最終回答にせず、確認・対話の素材にする』こと。
使うべきでないシーン
Likely harmful
(1)宿題・感想文・自由研究をAIに書かせてそのまま提出、(2)『友達と喧嘩したけどどうしたらいい?』のような感情・対人の意思決定をAIに丸投げ、(3)医療・安全に関わる重要判断(『熱が出たけど大丈夫?』『この薬飲んでもいい?』)、(4)個人情報(名前・住所・学校名・写真)をAIに入力する、(5)一人で何時間も会話を続ける。共通点は『AIに思考・判断・関係性を外注してしまう』使い方。
学校に提出する課題については、文部科学省ガイドラインも『感想文・読書感想文のAI生成提出は不適切』と明示しています。これは「ズルだから」というより、「自分の頭で考えて言葉にする」という、その課題そのものの目的が果たされなくなるからです。家庭でも、「学校に出すものはAIに書かせない」を最低限のルールとするのが、現時点で安全な線引きです。
リスクを正直に整理する
生成AIには、ぜひ知っておきたいリスクがいくつかあります。お子さんに使わせる前に、大人がまず理解しておきます。
「AIネイティブ世代」に必要な力
お子さんの世代は、生まれたときから生成AIが当たり前にある「AIネイティブ世代」です。この世代に育てたい力は、研究と公的ガイドラインを総合すると、次の3つに整理されます。
- 批判的思考(Critical thinking):AIの答えを「本当かな?」と疑える力。「他の情報源と照らし合わせる」「自分の経験と比べる」「論理的に矛盾していないか考える」を、日常会話の中で育てる。
- ファクトチェック能力:AIの回答を、図鑑・公的サイト・複数のソースで確認する習慣。「AIがそう言っていた」を最終回答にしない姿勢。
- 自分の言葉で言い換える力:AIの長い説明を、自分が理解できる短い言葉で言い直せる力。これができていれば、思考の外注化は起こりにくい。
家庭でこれを育てる一番の方法は、特別な教材や講座ではなく、「AIの回答を読んだあとに、親が『これって本当だと思う?』『あなたならどう思う?』と一言聞く」習慣です。これは、テレビ番組やニュースを家族で見るときに育てる力と、本質的に同じものです。
親自身が AI を子育てに活かす
ここまでは「お子さんが使う」話でしたが、親自身が AI を使って子育てに活かすのも、現実的でおすすめの使い方です。
- 調べ物・情報整理:育児書を読む時間がないとき、ChatGPT に「2歳のイヤイヤ期の対処法を、研究的に支持されているアプローチで教えて」と聞いて、ざっくり把握する(ただし、重要な判断は出典付きの公的情報で確認)
- 献立・食事のアイデア:「冷蔵庫にあるもの(○○、△△、□□)で、5歳の子も食べられる夕食を3つ提案して」と聞く
- 宿題サポートのヒント:お子さんが算数でつまずいているとき、「小学2年生に、繰り上がりのある足し算を分かりやすく説明するには?」と親自身が学ぶ
- 子育てで悩んだときの「壁打ち」:「2歳の子が夜中に何度も起きて、私が疲れています。研究的に支持されている対処法を整理して」と、思考の整理に使う
親が自分で AI を使ってみると、「便利さ」と「限界」の両方が肌で分かります。お子さんに使わせるかどうかを判断する前に、まず親自身が触ってみる ── これが、もっとも誠実な順序です。
お母さんとの対話
実は、上の小学生がChatGPTを使い始めていて、6歳の下の子も「私もやりたい」って言うんです。学校でも生成AIの話が出てきていて、何歳から、どう使わせたらいいのか、迷っていて。
悩まれるお気持ち、よく分かります。先にお伝えしておくと、ChatGPT は規約上 13歳以上、13〜17歳は保護者同意が必要で、6歳のお子さんが一人でアカウントを作って使うことは、いずれのサービスでも想定されていません。ですから、ご家庭で6歳のお子さんに触らせる場合は、お母さんのアカウントで、お母さんが隣にいる状態で、というのが規約上の前提になります。
そうなんですね。じゃあ、6歳には早すぎるってことですか?
「早すぎる」というより、「親が代理で見せてあげる段階」が、6歳には合っていると思います。たとえば、お子さんが「ペンギンってどこに住んでるの?」と聞いてきたら、お母さんがChatGPTに同じ質問を入れて、出てきた答えを一緒に読む。それで、「本当かな?」と図鑑で確認する。これだけで、AIの使い方の基本姿勢が、自然に伝わります。
「本当かな?」って確認するんですね。AIって、嘘もつくんですか?
はい、これがいま一番大事なポイントで、幻覚(hallucination)と呼ばれる現象です。生成AIは事実を検索しているのではなく、「それらしい文章を組み立てている」ので、もっともらしい嘘を、自信満々に返してくることがあります。実在しない本の名前を返してきたり、間違った歴史を返してきたり。これは Kasneci ら(2023)を含む多数の研究で確認されていて、現時点で完全には解決していない、AIの根本的な性質なんです。
え、そうなんですか。「AIだから正しい」って思っていました。
そう思われている方、本当に多いです。だからこそ、低年齢のうちから「AIが言ったから本当」ではなく「他でも確認しようね」を習慣にするのが、長い目で見たときの大切な準備になります。これは、テレビやニュースを「本当かな?」と話しながら見るのと、同じ姿勢ですね。
なるほど。じゃあ、上の小学生の子(10歳)は、もう少し自由に使わせていいんですか?
10歳でしたら、規約上はまだ保護者同席の年齢ですが、自分で操作する場面も増えてくる時期です。家庭で「使っていい場面」「ダメな場面」のルールを話し合うのに、ちょうどよい年齢だと思います。具体的には、『学校に出すものはAIに書かせない』『個人情報は入力しない』『困ったら相談する』くらいから始めて、お子さんと一緒に少しずつ広げていく感じです。
実際にやるならどうするか
研究と公的ガイドラインを踏まえて、ご家庭での生成AIとの付き合い方を整理します。
1. まず親が触ってみる
お子さんに使わせるかを判断する前に、親自身がChatGPT・Claude・Gemini のどれか一つを無料版で触ってみるのが、もっとも誠実な順序です。便利さも限界も、肌で分かります。「献立を聞いてみる」「子育ての悩みを相談してみる」程度で十分です。
2. 規約上の年齢制限を確認する
各社の利用規約は、「子どもを守るために設定された最低限の線」です。これを下回って一人で使わせることは、家庭の判断としても避けたいラインです。13歳未満は、必ず親のアカウントで親が一緒に。
3. 低年齢(0〜5歳)は「直接体験 > AI」
絵本・玩具・外遊び・親との対話 ── これらが育てる力は、現時点でAIが代替できるものではありません。4〜5歳で「見せる」程度はあってもよいですが、AI に重心を移す必要はまったくありません。詳しくは スクリーンタイムの記事 知育アプリの記事 もあわせてどうぞ。
4. 「AIの答え+確認」をセットで習慣化
6歳以上で使うときは、「AIが言ったこと」を最終回答にせず、図鑑・公的サイト・親の経験で確認するを、最初から習慣化します。「本当かな?」「他でも調べてみようか」を、AIを使うたびに一言。これが、批判的思考とファクトチェック能力の土台になります。
5. 学校に出すものはAIに書かせない
文科省ガイドラインも明示している、家庭での最低限のルールです。感想文・自由研究・宿題は、お子さん自身の言葉で。AIを「壁打ち相手」として、考えるきっかけにするのは可ですが、書かせて提出するのは別の問題です。
6. 個人情報は入力しない
お子さんの名前・住所・学校名・写真などは、AIに入力しないルールを家族で共有します。これは、AIに限らず、インターネット全般のリテラシーとして大切な習慣です。
7. 「家族で話す材料」として位置づける
知育アプリの記事 でも同じことを書きましたが、AIも「親が手を離せる道具」ではなく「あとで一緒に話す材料」として位置づけると、教育的価値が出やすくなります。「今日、AIにどんなこと聞いた?」「面白い答えあった?」 ── この一言で十分です。
8. 親自身も「壁打ち相手」として活用する
献立、宿題の教え方、子育ての悩み ── 親が自分で AI を使ってみると、お子さんに伝える言葉も、自然と具体的になります。重要な判断は公的情報で確認したうえで、「思考の整理」には十分役立つ道具です。
締めの対話
今日のお話で、「AIを使わせるかどうか」じゃなくて、「どう関わるか」が大事なんだって、すごく整理がつきました。
そうなんです。「禁止」も「全肯定」も、研究や公的ガイドラインの整理として正確ではありません。OECD も UNESCO も文科省も、共通して言っているのは「親や教員が一緒に、批判的に使う力を育てよう」ということだけなんです。
親が一緒に、ですね。私自身、AIに詳しくないから不安だったんですけど、私も触ってみていいんですね。
むしろ、それが一番いいと思います。お母さんが「私もよく分からないけど、一緒に試してみよう」と言いながら触る姿は、お子さんにとって、何より大切な学びになります。「AIに正しい答えを教えてもらう」じゃなくて、「AIと一緒に問いを深める」。この姿勢を、お母さんがまず体現してくださっていたら、お子さんも自然とその使い方を学んでいきます。
「問いを深める道具」って、いい言葉ですね。
ここまで、6歳のお子さんと、上のお兄ちゃん・お姉ちゃんと、AIとの関わり方を真剣に考えていらっしゃるお母さんの姿勢こそが、AIネイティブ世代を育てる一番の土台です。完璧な使い方を最初から目指す必要はまったくありません。一緒に試しながら、家族で話しながら、少しずつ。それで十分ですよ。
研究の詳細
Primary sources研究デザイン: 国際機関による政策レビュー + 加盟国動向の統合的整理
対象: OECD加盟国における教育分野でのデジタル技術(AIを含む)の活用に関する政策・実践・研究エビデンス
主要結論: (1)AIは個別最適化(adaptive learning)に寄与する可能性があるが、導入には教員研修・カリキュラム再設計・倫理ガイドラインの整備が前提。(2)生徒のAIリテラシー教育を学校教育に組み込む必要がある。(3)データプライバシー・公平性・透明性の確保が、技術導入と同時に進められる必要がある。(4)AIは「教員を置き換えるもの」ではなく「教員を支援するパートナー」として位置づける。
限界: 政策レビューであり、新たな実証データを提供するものではない。加盟国の動向は急速に変化しており、レポート時点の整理が現時点でそのまま該当しない可能性がある。
研究デザイン: 国際機関による政策ガイダンス文書
対象: 生成AIの教育・研究分野での利用について、各国の政策担当者・教育者向けに発行された国際的ガイダンス
主要結論: (1)生成AIサービスの利用は13歳以上を基本とすることを推奨。(2)学校での導入には「人間の主体性(human agency)を中心に置く」原則を保つ。(3)生徒のクリティカルシンキング・ファクトチェック能力・倫理的判断力を育てる教育を、AI導入と並行して行う。(4)教員のAIリテラシー研修を、生徒への導入より先に進める。
限界: ガイダンス文書であり、各国・各機関の実装は文化的・制度的文脈に応じて調整される必要がある。
研究デザイン: 学際的レビュー論文(教育・心理・計算機科学の研究者による共同執筆)
対象: ChatGPT を含む大規模言語モデル(LLMs)の教育利用についての機会(opportunities)と課題(challenges)の網羅的整理
主要結論: 機会として、(1)即時応答型のチューター的役割、(2)学習者レベルに合わせた説明の言い換え、(3)言語学習における会話練習相手、(4)教員の教材作成・添削補助、を提示。課題として、(1)幻覚(hallucination):事実と異なる情報を自信を持って返す、(2)批判的思考の弱体化リスク、(3)著作権・剽窃の問題、(4)学習データに含まれるバイアスの再生産、(5)データプライバシーの懸念、を整理。LLMは教育に大きな可能性をもたらすが、教員・保護者の関与とAIリテラシー教育がセットでなければ、リスクが利益を上回りうると結論。
限界: レビュー時点(2023年)のモデル性能・利用環境に基づく整理であり、技術進化により個別の論点は変化する。実証研究ではなく統合的整理。
研究デザイン: 論考・研究アジェンダ提示
対象: AI媒介コミュニケーション(AI-Mediated Communication: AI-MC)の定義、研究課題、倫理的論点の整理
主要結論: AIが人間のコミュニケーションに介在することで生じる、(1)信頼性・自己呈示への影響、(2)人間関係への影響、(3)コミュニケーション能力(リテラシー)への影響、を研究すべき領域として提示。生成AIが「対話相手」として日常化するにつれ、子ども・若者のコミュニケーション発達への影響が研究課題となる。
限界: 実証データではなく研究アジェンダの提示。子どもへの直接的な影響は今後の研究を待つ必要がある。
研究デザイン: 米国の8〜18歳を対象とした全国規模の自己報告式調査(N≒1,300)
対象: 米国の8〜18歳のメディア使用(スマホ・タブレット・PC・SNS・動画・ゲーム・生成AI関連サービスを含む)の時間・内容・態度
主要結果: 子ども・若者のスクリーン時間は引き続き長く、特にコロナ禍以降の動画視聴時間の増加が顕著。SNS・動画プラットフォームへの接触年齢の低年齢化が確認されている。生成AIサービスへの接触は2023年以降急速に拡大しており、後続の調査で詳細が報告されていく見込み。
限界: 米国のサンプルに基づく自己報告。日本の子どもの利用実態とは直接の比較は難しいが、低年齢化・長時間化の傾向は国際的に共通している可能性が高い。
研究デザイン: 国の教育行政による暫定的な政策ガイドライン
対象: 日本の小学校・中学校・高等学校における生成AI利用について
主要結論: (1)生成AIの利用は「限定的な利用から始める」段階的な導入を基本とする。(2)各社の利用規約(13歳以上等)を遵守する。小学生の利用は、学校・家庭ともに保護者・教員の管理下で。(3)適切な利用例(対話の壁打ち、英会話練習、教員の校務支援)と、不適切な利用例(感想文・読書感想文のAI生成提出、定期試験での使用)を例示。(4)「AIに任せて思考停止する」のではなく、AIの回答を批判的に検討し、自分の言葉で再構成する力を育てることを目的とする。(5)個人情報・著作権・プライバシーへの配慮を徹底する。
限界: 「暫定的」と明示されており、技術進化と実践知の蓄積に応じて改訂されていく性質の文書。具体的な運用は各学校・各家庭の判断に委ねられる部分が大きい。